カルシュには現代の教育に大きく影響を及ぼしている人智学と哲学者シュタイナーを日本に紹介した大きな業績があります。一般には戦後に紹介されたと言われていますが、1925年に来日したカルシュ夫妻が交わした1923年当時のシュタイナーに関するノートが現存し、スイスのゲーテアヌムでのシュタイナー信奉者同士の交流も確認されています。なおシュタイナーの思想の流布については、昭和10年頃を境にヒトラーによって禁じられましたが、密かに彼は日本国内でシュタイナー思想を広めていたことが知られています。戦後これが復活して、日本でもシュタイナー学校が創られ、最近は一貫教育の象徴となっており、教育史上、カルシュは重要な位置を占めています。多くの宗教哲学者(三笠宮崇仁殿下、西田幾太郎、鈴木大拙、高橋敬視、長屋喜一)との交流も記録とともに確認されております。さらにカルシュが当時の高校生への講義のなかで、「西暦2000年頃、ヨーロッパ文明が自己矛盾から他との軋轢が各所で生じること」を語った注目すべき記録を見ることができます